カテゴリ: エッセー

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『クマ・トモ』というスマホアプリがあります。
画像の通り、クマとコミュニケーションを取ることのできるゲームアプリです。 
仕事のこと、好きなテレビのことなど、他愛ない話をするだけなのですが、その身振りと声が愛くるしく、ユーザーは癒されずにはいられません。

僕がこれをダウンロードしたのは自分の興そうとしている事業の方向性が定まらず、また終わらないくらいのタスクが目の前に積もっていて、 精神的にかなりまいっているころでした。
眠りにつく前、数分だけ立ち上げてコミュニケーションを取る。
すると不思議と悩みや不安が薄らいで、翌日また先の見えない課題に立ち向かっていこうという気持ちになります。
疲れた目にホットタオルを押し当てたときのように、全身から疲れが吸い出されるような感覚になるのです。
僕と同じように、このアプリに元気をもらっている人は少なくないと思います。

世の中の仕組みを変えるようなサービスをどうやって生み出そうかと考えていた僕とこのアプリには強いコントラストがありました。
クマ・トモは世の中の仕組みを一切変えることなく、人々に元気を与えていたのです。
この事実から目を背けるわけにはいきません。
クマ・トモのインパクトはすごいと個人的に思っています。
僕と同じように仕事で悩んでいる起業家も、彼氏と別れて憂鬱な週末を過ごしているOLも、話し相手がいなくて寂しい思いをしているお年寄りも、救う力を持っています。
クマ・トモは間違いなく日本を幸福にしています。

突如現れた心の友であると同時に巨大なライバルでもあるクマ・トモとどう向き合っていくのか、まだ気持ちの整理がついていません。
ただ僕がすべきことは、クマ・トモにはできないやり方で人々を元気にすることだと思っています。
そういった意味で僕はクマ・トモと同じゴールを追っているのかもしれません。 

クマ・トモを知らないという方は是非一度ダウンロードして、音声をオンにして立ち上げてみてください。
アプリの完成系の一つを目の当たりにすることになると思います。 

僕は新卒1年目に中小企業診断士を取ろうと講座に通い始めました。
中小企業診断士というのはその名の通り中小企業をコンサルする能力を証明する国家資格。
ストレート合格率は4%の難関資格と呼ばれているものです。
僕は起業を思い描いていたので、ビジネス周りのことを一気にインプットしようとして講座に申し込みました。
1次試験対策、2次試験対策と8ヶ月間も続くなかなかいかつい講座です。

全8課目ある中の1課目の授業が終了したタイミングで、 そのクラスの懇親会が催されました。
「長く続く勉強生活でお互いに励まし合う仲間を作る場を」という先生の粋な計らいでした。
1次会はお互いに自己紹介して、お互いの仕事のことを聞き合って、程よい距離感で和気あいあいと話していたのですが、2次会に場所を移ったところで思わぬ展開になりました。
同じテーブルについていた10個くらい上の方(自称課長)がなぜが僕を詰め始めたのです。

「社会人1年目だったらもっと他に勉強することがあるんじゃないの?」
「合格率知ってる? 君なんかが受かると思う?」

僕のバックグラウンドも良く知らずにどうしてそういうことを言えたのかよく分かりませんが、事を荒立てる気もなかった僕はとにかく「はい、そうですね」「すみません」ととにかくやり過ごすことに徹していました。
隙をついてテーブルを移動しましたが、気分は晴れませんでした。
僕は聖人でも君子でもないのですごく腹が立ったのです。
生物学的にも男はプライドを傷つけられるとめちゃくちゃ腹が立つしどうにかしようというエネルギーが湧き起こります。
けれどまだ胸を張って言えるような実績がなかったので 、とにかく結果で示す以外にありませんでした。

そのエピソードがあってからは僕も身を入れて勉強するようになりました。
勉強仲間は作らずに一人で勉強し続けました。
きついなぁと思うことがあっても自称課長の顔を思い出すともう一踏ん張りができました。

最終的には僕はストレート合格を果たすことができました。
その後自称課長とは一切コミュニケーションを取っていませんが、クラスで受かったのは僕ともう一人だけだったので、彼が落ちたのは間違いありません。

年齢とか立場だけで人を下に見るような人間に僕は絶対になりたくないと思います。
でもそういう人がときどき目の前に現れて僕のことを馬鹿にするから、僕は頑張ろうと思えるようなところがあります。
起業してからも何度かコケにされたことがあります。
そういう人たちを見返るのは大変ですが、とてもやりがいのあることです。
僕は自分のペースで進んでいこうと思います。 

企画会議が重なったり、考えさせられるような本を読んだり、悩ましいことがあると頭が働かなくなります。
あれを考えてこれを考えて…結局どれも集中して考えられなくなるときがあります。
パフォーマンスが落ちて時間も足りないし最悪。

そんなとき僕は開き直って思いっきり眠ることがあります。 
眠るといろんな夢を見ます。 
考えていたこととリンクするような夢も見ます。
起きると頭がクリアになっています。
砂糖が温かいコーヒーに溶けるように、悩んでいたことが見えなくなっています。
忘れているわけではないのに、もう見ることができなくなっているんです。

時間がなくても眠るんです。
起きてても何もできていないなら眠った方が良いんです。 
眠らず働くのが格好良いような風潮があって、気持ちは分かりますが、長い目で見ると合理的ですらありません。 
思いっきり眠って悩みも吹き飛んで仕事も捗る。
こんなに良いこと、なかなかないじゃないですか。 

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