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僕は「情報を共有するだけの大人数の会議」や「集中力を途切れさせる割り込みの電話」が大嫌いな効率性重視の現代っ子なので周囲からは意外がられることもあるのですが、いわゆる「会食」が好きです。

みんないろんなことを知ってるし、考えている。聞いているだけで勉強になる。

自分が話すにしても、会食相手との相互作用の中で自然と発展していって、気づけば人様に話せるような「自分の意見」みたいなものができあがっていく。
それに少しでも酔うことができるのは、お酒の力によるものばかりでもないだろう。

そこから得られる情報、生み出される情報は、10万人が読んでるベストセラーから得られるものよりずっとずっと希少だ。
そもそもみんなが知ってる情報や考え方に、情報価値はあんまりない。

ただでさえ大して賢くない僕たち全員が、「少しでも賢くなるためのチャンス」を逃し続けているシチュエーション

ありがたいことに、過去に先輩方に「首を痛めるくらい目上のクリエイターさんや経営者」との会食に同席させていただいたことが何度かある。この経験は格別だった。
「目上すぎる人に会っても相手にされないだろうし仕方ないんじゃないか」という考えもよぎったが、会わせていただいて良かった。
5年先、10年先を覗き見ることで将来が楽しみになり、現時点とのギャップに焦ることができた。
30を過ぎて、経営者というお山の大将の立場にあって、世界の広さにあらためて気が遠のきそうになる、この経験は得がたい。

コロナが猛威をふるう中で、会食の機会は減っています。
置かれている状況やポリシーから「行けない」「行かない」という方も多いでしょう。

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一見無駄なように見えて、原理も分かりにくい。でも確かに効き目があることは実証されている漢方薬のような「会食」が世の中から取り上げられていくことの影響は計り知れないと思う。
ただでさえ大して賢くない僕たち全員が、「少しでも賢くなるためのチャンス」を逃し続ける意味を、そろそろ本気で考え始めても良いのではないかと思う。
忙しい毎日の中、マルチタスクをこなし、前に進んでいるようでいて、ただ回し車を高速回転させているだけのことの何と多いことか。

資本主義の促す「テクノロジーの進化」は幸いにもコロナ前から様々な代替手段を用立ててくれていた

「だから会食に行こうぜ」が唯一の結論ではもちろんありません。

僕はコロナの影響が深刻化し始めた3月ごろから、このぽっかり失われた漢方薬を埋めるべく「毎週火曜日に焼酎を飲む」という習慣を始めました。オンラインで。

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FACiliTY』という、クリエイターや経営者、ビジネスマンの集うサロンがあります。
2018年からリアルの場で毎月定例会を開催していたのですが、3月以降は「毎週」のオンライン定例会に切り替わっています。
取り上げられるテーマは仏教、落語、料理道具、アートなど、文化的なコンテンツが中心。



8月11日(火)には「13歳からのアート思考」著者の末永さんを招いた「アート思考」のセッションが交わされ、深夜1時すぎまで盛り上がりました。



オンラインサロン、ビデオ会議システム、MacBookやiPhoneに内蔵された解像度の高いカメラ、レイテンシを最小限に抑える通信網の発達といった個々の技術要素やサービスは、当然のことながらコロナ対策で作り出されたものではありません。
功罪を指摘されることのある「資本主義」が促した「ビジネスモデルやサービスの無尽蔵な発展」が結果として私たちにもたらしてくれた、コロナに立ち向かうための武器です。

これらテクノロジーがもしなければ、経済は、私たちの生活は、もっとひどいものになっていたでしょう。
走り続けてきた私たちはある意味「間に合った」のです。

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次に何が起こるのか、そのとき何が功を奏すのか、先のことは分かりません。
分からないながらも、文化やテクノロジーやビジネスを前に進めるため、あるいは進めないという判断を正しくできるようになるためにも、もっと賢くなる必要があるように僕は思います。
そのためにも会食や会食めいたものを意識的に大切にしていきたいと考えています。

先述したサロンで、9月1日(火)は音楽家の大沢伸一さんを招いた公開会食企画が予定されています。
「首を痛めるくらい目上のクリエイターさんや経営者」の会食を、バーチャルに観戦できるという体験。この記事に少しでも共感していただけたなら、まずは騙されたと思って、ちらっと覗いてみてください。
お金もかからないし、違うなと思ったらウインドウを閉じたら良いだけです。「自分に合う方法」は人それぞれでしょう。
合うか合わないかを試してみるというのも、きっと、賢くなるための一つの大切なステップになります。