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会社を立ち上げたのが27歳の頃だったので、あれからもう5年近くが経ったことになる。
1年くらい前にAI事業に転換してから、ニューロープは順調に成長を続けている。技術もチームも売上も伸びている。これから拡大局面に入ろうとしている。
会社が大きくなっていくと手数が増えて複雑性が増し、結果として失敗したり、恥をかいたり、悔しい思いをしたりすることが今よりもっと多くなるだろう。
それらを全部ひっくるめて突き刺したって、新しいことにチャレンジしていける可能性の球体に傷をつけることはできない。

僕たちはビジネスを生み出す以前に、テクノロジーを生み出すことを心がけている。
新しいテクノロジーはいつだって人間の限界を引き直してくれる。少しずつ広がっていく輪っかの中で、僕たちは今や持て余すほどの自由を感じているはずだ。
この境界線を自分たちの手で引き直す。新しく生まれた領域に種を植え、水をやり、育て、収穫する。
液体が撹拌するようにその領域にあとから人がなだれ込んできて街ができあがっていくのを尻目に、また新しい境界線を引き直す。
テクノロジーにはそれが可能で、領土争いとは違うゲームルールを僕たちに提供してくれる。だから僕は生涯を通して、そこにベットしていきたいと思っている。

フォーカスするということは、他の魅力的なエトセトラを切り捨てるということでもある。
けれど本来僕たちは、平均的なエンターテインメントを享受することで効能が最大化するような作りになっているわけではないはずだ。
偏りなく満遍なくインプットしたところで行き着けるところは高が知れている。
意識的に偏食していきたい。
ポリシーに沿わないチャンスは躊躇なく手放せる人間になりたい。

そしてこの記事を読んでくださっている皆さんに誕生日を笠に厚かましくもお願いをさせてもらうと、そんな僕を応援してほしい。
一緒に新しいテクノロジーを世の中に打ち立てるチャレンジをしてほしい。
一時的に凋落することがあっても、10年、20年といったスパンで試行錯誤するのを見届けてほしい。
1人でできることは極めて限られている。僕はあらゆるレイヤーで仲間を必要としている。

僕たちの立てた水紋が、その勢いを保ったまま、アジアを通って、太平洋を渡って、アメリカやヨーロッパにも行き渡ってくれたら良い。
地球を何周もしているうちに、他の水紋と重なり、混ざって、強まったり弱まったりして、僕はやがて見失うだろう。
それは何よりも喜ばしいことだと思う。
浸透したテクノロジーは次世代にとっての新しいプレイグラウンドとなって、次のテクノロジーへと連綿と受け継がれていくことを歴史が証明してくれている。