学生時代からの友人、堤 真矢が新作映画のプロジェクトを進めていて、それに伴ってクラウドファンディングをはじめました。
「映画作品・アート作品のクラウドファンディングは内輪感満載すぎてついていけない」と敬遠なさっている方も多いのではないかと思うのですが、少しピントを変えてそのディティールを覗くと見え方が変わってきます。

彼は学生の頃から自主制作映画を撮り続けていて、社会人になってからもフリーランスとして映像制作をしながらも変わらずに自主制作活動を続けています。
驚きなのが、今回の制作費350万円のほとんどを個人で捻出しようとしているところです。既に制作には着手していて、今回のクラウドファンディングで集まっても集まらなくても必ず完成させるという男らしいやつです。

テーマは30歳を目前にした劇団員たちが、それぞれの人生と折り合いをつけながら、自分たちが果たして何者かになれるのか、一つの劇に可能性を込めるというもの。
この設定はほぼそのまま、フリーランスで映像制作をしながらも自主制作映画を作り続けている監督の心中を反映しているはずで、自分の良いところも悪いところも作品の中でダイレクトに表現する堤 真矢の純文学的なアプローチが期待されます。
今までそうやって映画を撮ってきたし、その作品は少なからず視聴者の心を打ってきたと思います。


過去の自主制作映画『ソラリアビジョンであいましょう』

うまくいくかどうか分からないことにありったけの時間とお金を使う

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何がすごいかって、やっぱりお金と時間をそこに突っ込んでいるという事実だと思います。
映像作品を作るのは本当に大変で、脚本を書き、制作費を捻出して、オーディションで役者を集め、撮影のロケーションを一つ一つ決めて、撮影が少しでもスムーズにいくように絵コンテを描きながらカット単位で撮影の順番を決めて、それでも役者や撮影スタッフを長時間拘束することになる前提でスケジュールを組み、悪天候なども加味してバックアッププランを立てておく。後にも膨大な編集作業と公演という大きなイベントが控えています。
アウトプットが明確ではない中で大勢を巻き込んでいく。チームビルディングしていく。そして自分の口座の350万円をそのプロジェクトの源泉にする。

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この構図って起業とすごく似ていると思います。(注: 筆者はファッションベンチャーを2014年に立ち上げて今も取り組んでいる起業家です。)
何もないところから何かを作り上げるということは、結局は自分のお金と時間と情熱をありったけ突っ込むという話になります。
中でも時間は限られているものだし、僕も30を前後している今まさに、自分は何に時間を使うべきなのだろうとか、自分は何者かになれるのだろうかということは本当によく考えます。人生の1/3を消化した時、突然人生が有限であるということが身に迫ります。

うまくいくかどうか分からない。うまくいかなかったら自分は何者にもなれないかもしれない。それでもチャレンジしないことには100%リターンはありえない。
みなさんにも思うところはあるのではないでしょうか。

映像作品というコンテンツフォーマットの可能性

クラウドファンディングと言うとどうしても内輪感があったり小さな生態系に収まってしまったりするプロジェクトが多くなりがちですが、普遍的なテーマに挑むこの作品は多くの共感を呼びうるし、世界に勇気を生む可能性があるのではないかと、プロジェクトの概要を読んでいて思いました。ちょっとでも気になったらぜひ目を通してみてください。


ちょうどコンテンツ業界にもディスラプトの波が来ています。映画館やテレビ番組といった従来のフォーマットが強度を失い、YouTubeやAbema、ネットフリックスみたいな、今までになかったアプローチでコンテンツが発芽するプラットフォームが急速に力を蓄えていっています。
本来コンテンツはそれ自体がパワーを持っています。競合が多い反面、共感を生むことさえできれば非常にスケーラブルなものです。そのことは鉄拳さんのアニメや「つみきのいえ」が証明してくれています。

もともと映像作家や映画監督になる道のりは大きく2つに分けられます。
  1. 映像制作会社などでCMや番組などの監督としてキャリアと実績を積み上げる。指名で依頼が来るくらいにまでなってくると、独立の道も見えてくる。映像制作のスキルを買われて映画の制作にも取り組む。
  2. 同様に映像制作会社などで現場経験を積んだ後、フリーランスの助監督として映画制作のプロジェクトに関わりながら人脈と信頼を地道に開拓していく。並行してシナリオも書き続け、コンテストや業界で権限を持つキーパーソンの目に留まるチャンスをうかがう。
フリーで映像制作をするという堤のやり方は、このどちらにも属しません。だからこそその選択が正しかったのか本人も悩んでいるだろうしこれからも悩み続けるだろうし、一方で第三の道を開通させるという可能性がそこにはあります。
環境が大きく変化する中、彼が映像作家としてどうやって戦っていくのかを含めてすごく楽しみだし、同じ起業家として応援していきたいと思いま、この記事を発信します。