この年末年始にスーパーで目を剥いたという人は多いのではないでしょうか。
野菜がどれも高騰していて、小ぶりなキャベツやレタスが500円と、なかなか手が出ない高級品となっています。
ただの年末年始価格かと思いきや、三が日が明けても値を戻す気配がありません。
悩んだ末に、もやしでひとまずやり過ごしているという人も少なくないはずです。

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天候不順で価格は2倍、ものによっては3月以降も

この価格高騰の背景には、ニュースでも報道されている通り、天候不順による不作があります。
野菜高騰 家計を直撃 天候不順で平年の2倍近く - 上毛新聞

いわく「2月以降には価格が戻っていくものの、白菜など一部の野菜については3月中旬まで続くことが見込まれる」とのこと。
こうなってくると普段は年中リーズナブルな価格で手に入る野菜たちが、途端にありがたいものであることに気付かされます。

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小売以外の流通経路を使えば、価格の高騰を回避できる

こんなときに消費者目線で重宝するのが、野菜を購入できるネット通販サイトです。
ネット通販サイトの多くはスーパーや八百屋とは異なる流通経路を持っていて、必ずしも小売店と同じように不作の煽りを受けているわけではありません。
天候不順と言っても、すべからく全国の農家さんたちの収穫に影響しているという状況ではないためです。

  • ポケットマルシェ
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例えば筆者も運営に関わっている『ポケットマルシェ』では、生産者さんから直接野菜を買うことができます。
筆者も先日「青木瑠璃さんの野菜セット」を購入しました。農薬や化学肥料を使っていない新鮮な野菜が1,728円。関東なら送料を含めても2,214円です。
実際に届いた野菜がこちら。

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1月4日に注文して、届いたのは9日。新鮮な野菜が心細かった冷蔵庫の野菜室を一瞬で満たしてくれました。
どれも新鮮で普段手に取るものとはどこかしら違っていて、一つ一つの味を楽しみにできるというエンターテインメント性がもともとの醍醐味の一つだと筆者は思っています。
生産者の方に「ごちそうさま」を伝えられるという部分も大きなコンセプトなのですが、今回は記事の主旨とは異なってくるのでそれはまた別の機会に。

ネックは、出荷するのが個人規模の農家さんであるため、出荷できる量に限りがあるということです。メディアで取り上げられたりすると、一瞬で人気商品が完売状態になってしまいます。笑
気になった商品があれば早めに注文しておくのが良いでしょう。
野菜セットの一覧はこちらから!

※ 変にステマ記事として炎上して運営チームに迷惑をかけたりしたくないので再掲しますが、筆者もポケットマルシェの一部運営に携わっていたり、ほんのちょっとですが出資をさせていただいたりしています。

  • オイシックス
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言わずと知れたアグリテックの雄、『オイシックス』さんも野菜の不作をあまり価格に反映していないようです。
16品で1,980円という新春キャンペーン中で、我が家も実際に注文したところ、満足なボリュームの野菜+α(ツナやプリンなど)が送られてきました。
一点一点はちょっと小ぶり気味ではありますが、そうはいっても品数が担保する全体のボリュームを考えると、十分なお得感があります。(写真はすみません、撮り忘れました…。)

流通形態としては、オイシックスさんが全国の契約農家から仕入れて、それをセンターでまとめて発送するという方式を取っています。
「しっとりーも」「あめトマト」「栗じゃがいも」など、その濃厚な味と甘みを売りにした品種の野菜がセットになっていることが特徴です。

今こそ試しておきたい野菜のネット通販

ただでさえスーパーと比較したときにおいしさ・新鮮さにアドバンテージがある(傾向にある)のに、ここ最近の流通価格を考えると更に「コスパが良い」という付加価値も乗っかってくる、ポケットマルシェやオイシックスなどのネット通販。
「まだ利用したことがない!」という方がトライアルするのには絶好の機会なのではないかと思います。
先日個人的にポケットマルシェのことをFacebookでシェアしたところ、かなり反響が大きかったのもあり、今回改めて記事にまとめて発信することにしました。


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農家さんのことを考えたら両手を挙げて喜んでばかりもいられない、ビジネス視点で見るネット通販

消費者目線で見ると、野菜がリーズナブルに買えておいしさやエンタメ性といった付加価値まで得られて、良いこと尽くしです。
が、一方でこれだと市場のおいしいところだけをつまみ食いする「クリームスキミング」的なやり方だと見なされかねません。
ここからはちょっと消費者目線を離れて、もう少し広く市場を捉えていきます。

野菜の市場価格が高騰しているのは、生産者・農協・卸・小売といった物流システムで全国の偏りを吸収した結果と考えて差し支えないでしょう。
つまり、中には不作の影響を受けていない農家さんもいて、その農家さんとしては通常価格で販売しても特に生活が困ることはないのですが、この比率が高まってくると、市場全体の保険のような機能がワークしない事態に陥って、局所的な不作の影響はより大きなものになってしまいます。
先述したオイシックスさんについても、野菜の不作の打撃は少なからず受けているはずで、それを価格に反映していないのは、オイシックスさんなのか農家さんなのか、どこかで一時的に吸収しているということに過ぎないだろうと推察されます。(四半期決算を待てばより正確な解が得られるかもしれません。)

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もちろんネット通販事業者がクリームスキミングを意図的に狙っているというわけではないでしょう。そもそも天候不順にならないと儲からないビジネス構造に継続性があるとは思えません。
ポケットマルシェの取り組む生産者と消費者の直接取引は、構造的にはアパレルで言うSPA(製造小売)みたいなもので、消費者には価格メリットを、生産者には高い収益性をもたらしうるものです。生産者サイドの根本的な収益性を高めることができれば、それ自体がセーフティネットの代わりになるということもありえるし、流通構造自体が変われば現在とは異なる保険のシステムが構築されていくことが想定されます。

ただし、長期的な視点に立つと流通構造の簡略化は大きなトレンドになっていくだろうと考えられますが、現時点ではC to Cの小口配送には相対的に流通コストが高くつくことから、平時は割高になるか、生産者の手間を取ってしまうかに陥りがちです。
これらを穴埋めするのが、既存の流通システムを通すと得られない新鮮さであったり、生産者とのつながりであったりするわけです。
価格面以外で価値を生みながら取引量を増やしていき、スケールメリットを活かせるところまでいかに持っていくかが短期的な課題になってくるのではないかと思います。

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この他、イオンの運営する『イオンネットスーパー』なんかは、既存の店舗網を活かすことで配送コストを抑えるということに成功しています。
基本的には「スーパー価格+少額の配送料(324円!)」で、かつ配送までのリードタイムをほとんど待たずに配送してもらうことができます。スーパーに行く時間を買うという考え方であれば、これ以上のものはなかなかないでしょう。(ただし近隣にイオンの店舗があるエリアに限る。)


群雄割拠な食のネット通販。
消費者視点でも、ビジネス的な観点からも、なかなか面白いことになっています!