約束の時間に遅れる、傘を忘れる、電車でケータイ電話を音を出して使うなど、様々な望ましくない振る舞いを人々はしてしまう。その理由は何かを考察する一冊。
「だらしないから」とか「モラルがないから」といった個人攻撃は何も解決しないし、そもそも言い換えただけであってロジックになっていない。
行動をしたとき、その行動に対するフィードバックが行動を強化するか弱化する。取引先との約束に遅れたら取引先に怒られ、上司に怒られ、最悪の場合売上が落ちるという強い負のフィードバックが発生する。友達との約束に遅れても友達にちょっと嫌な顔をされるくらいで、特に負のフィードバックは発生しない。
フィードバックは人の行動を形成する上でとても重要な役割を果たしている。フィードバックを分析することで、望ましくない行動を抑制したり、望ましい行動を促進したりといった建設的な議論ができる。

人と会話をしていて、考察の浅さがすごく引っかかることはある。
それこそ「どうしてあの人は協調性がないんだろう」に対して「ゆとり世代だからじゃないかな」という応えで満足するような人が少なくない。(ゆとり世代の皆さんごめんなさい。僕も半分ゆとりです。)
これはメディアや他人が言っていること(ゆとり=協調性がない)という公式を覚えているだけであって、自分の頭で何かを考えているわけではない。
しっかりと行動を分解して初めて対策を考えられるようになる。

この本に書かれていることは行動経済学の一種。ビジネス書やネット記事の短文からは学べないようなことが、学術的な新書には詰まっていると思う。僕は学問をリスペクトしています。



人は、なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」 (光文社新書)